「愛の不時着」~ジェンダーフリーのジョンヒョク~



南に舞台が移ってからのセリは豪華な服を身に着け、自ら運転して(セリの買った服を着た)ジョンヒョクを助手席に座らせる。
セリの財力が成せる技で、その行為にジョンヒョクは決して卑屈にならなかった。

秀逸だったのは、決してジョンヒョクを「手料理」などでオモテナシをしなかったことだと思うのです。
最初の夕食は、宅配の「チキン」で、その後、コーヒーもコーヒーマシーンでジョンソク自ら淹れていました。

ジョンヒョクの存在は知られるわけにはいかないので、セリが多少何か作ったりはしたのでしょうけど、披露したのは、コードレスの掃除機をかけていただけでした。(北の病院でも何か作ったとは言っていた)
「北でもてなされたから、南では私が」という流れにならなかったのは、さすがです。

それどころか、久々の社員の前のスピーチに「緊張する」というセリに、「君なら立派にできる」なんて人のいないところで励まし、セリを誇らしげに見守るジョンヒョクの「ジェンダーフリー感」に感動します。

愛する人がこれだけの人のトップに立つ人物だ、ということが「誇らしい」と感じるリ・ジョンヒョクのすごさを改めて実感するのです。
セリが何事かを成し遂げることを「見ていたい」と思う「視点」、それをジョンソクが持っているのです。

「君の手料理が食べたい」だの「僕のためにコーヒーを淹れてほしい」など決して言わない、思わないリ・ジョンヒョク。
なぜなら、全部自分でできるから。そして得意だから。
「オレサマ」気質の全くない、そして体を張る「男」、なんて素敵なのでしょう。

北での家事雑務に関しても、「君の笑顔がみたいからコーヒーを淹れた」とか、「君のために作った豆もやしのスープ」なんてセリフも吐かなかった。
ただ、セリのためにした行為であってわけで、なんの見返りも求めてはいなかった。

人は誰でも掃除・洗濯・料理の基本を習得し、ある程度出来なければならないし、それを女性の仕事と女性自身が思ってはいけない。
それが100%浸透しなければ「少子化」に歯止めがかかるわけがない。
小学生何年生だったか(おそらく高学年)、「男子よりも料理が上手でなければならない」と思う女子が8割以上、というデータを見たことがあります。(正確には覚えていないけど)

2010年代にもなってそんな調査結果が出ることに驚愕します。
小学生にも「愛の不時着」を是非視聴してほしい。

セリの自由に思うままを発言する力とリーダシップ力、ジョンヒョクのたくましさと家事能力は矛盾しないという証明。
ヒョンビンも是非、料理が得意であってほしい。