「エルピス」―希望、あるいは災い― 



話題になっている「エルピス」を遅ればせながらU-NEXTで5話まで視聴。
何が驚いたって、真栄田豪敦の演技の上手さ。
若干22歳、千葉真一の次男、新田真剣佑の弟、などというありきたりの情報しか知らなかったし、初めて観る「豪敦」

主役は長澤まさみ、かつて「報道」番組を持つ花形アナウンサーだった彼女がゴードン(豪敦)からの企画(といっても仕組まれた)「冤罪事件」に心動かされ、二人で調べているうちに、真相に近づくが、巨大な権力によって阻まれる、というストーリー。
国家権力対マスコミ、という大きなテーマを追求しつつの、オッサンたちの小さな「椅子争い」を揶揄しつつの、「いじめ問題」、「パワハラ・セクハラ」「DV」等を挟み込み、どう結論に持ってゆくかの、クライマックスに近づきつつあるこの「エルピス」

「エルピス」とは「パンドラの箱」にあった最後のもの。それは良きことの予測としての「希望」か災いの予測としての「予兆」か、と訳されるらしい。

いや~、この若手ディレクターをゴードン君が演じているわけですが、この子すごいわああ。
青臭さと甘やかされたノー天気さと、実は過去の傷があり、突然「正義感」に突き動かされる、そのふり幅を表現できる力。

身体から発する「明」のオーラがいい。顔も濃いのだれど、目力があり、それが彼を際立たせる。
「演技」に対する欲はあるけど、「自分」に対する欲がない、ように感じる。
何よりその演技に癖がなく、万人から愛されるであろう「愛嬌」がある。
この若さで、「コミカル」を体得しているゴードン、恐るべし。

そして、特筆すべきは、彼の「声」、低くてしかも心地よく、そしてよく通る「声」、これは「ギフト」だと断言します。
主演級な役者になることは間違いない、でしょう。

長澤まさみとの相性も良くって、長澤まさみの「賢さ」が際立つ仕組み、鈴木亮平とゴードンも「清濁」の対比、存在感あるキャストの選出もなかなかです。
チーフプロデューサー役の岡部たかし、癖あるおっさん、上手いなあ。

オジサンたちの老練さも、おばさん(おじさんの数からすると少なくて、政治部記者役の池津祥子さん、濃い!)もいやはや、存在感バツグンです。
ここからどう結末に持ってゆくか、楽しみです。