「嵐に耐える」ことは「自分自身の力をつけること」~「最高の元カレ」より~


「嵐の過ぎ去るのをじっと待っているだけではだめだ。耐える強さを持たなくては」、ハオランがファンスーに言っていました。
なかなか深い言葉です。
ファンスーがシャンナンの罠にはまり、リー・タンの会社を辞め、今後の行く末もハッキリしないときにかけられた言葉です。
その「嵐」は(そのときはまだ別れていなかった)シャンナンのせいだったのだけど。

20話あたりからシャンナンの「計算高さ」が露呈してきています。
リー・タンとのキャンパス内での出会い(30代後半のおっさんが大学生を演じるすごさ)で目を付けていたシャンナンが、モデルとして駆け出しの頃にリー・タンの行方を捜しているリー・タンパパに息子の居所を教える条件でリー・タンパパの会社のモデル契約を勝ち取ったのです。

ファンスーが頑なに嫌われようが、怖がられようが自分の信念を貫く仕事の仕方をしていたのとは真逆で、シャンナンは隙入るところがあればさっと入り、自分に取り入る人々を使って自身の安泰を図る、そんな「生き方」を身に着けてしまいました。

シャンナンはハオランには「わがまま放題」自分の感情をぶつけますが、リー・タンには全く自分の「素」をさらけ出すことをしません。
「嫌われたくない」一心です。
元々、自分から計算づくで近づき、やっとの思いで手に入れた「婚約者」のポジション。
リー・タンがファンスーを忘れられないのはよ~くわかっていた。
ハオランのやさしさには心惹かれたけれど、結局はハオランは「成り上がり」でリー・タンの財閥出の肩書が欲しい。

こうなってしまったシャンナンに同情します。

結局自分を理解してくれて、気楽に付き合うことができたハオランも、念願かない「婚約」までしたリー・タンも逃してしまうのです。
二兎追う者は一兎も得ず。

もちろん、ヒロインはファンスーで、シャンナンは徹底的な「敵役」を担っているのだけど彼女を反面教師にするなら、
①「男」は一回に一人、決して欲を出さない。「こころの安定」を取るか、「羨望のまなざし」を取るかは自分次第。
②人を裏切らない。(「配下」を見捨てない。見捨てればあっという間に秘密を暴露)

とは言え、シャンナンの「男」に頼って生きてい行く姿は今時の時世からはちょっとカッコ悪い。
ファンスーの「デザインで世に出るぞ!!」という純粋な意気込みがリー・タンの心を再びつかみ、ハオランの「シャンナンへの執着心」を開放し、ファンスーへの恋心に火をつけたのは、中国ドラマも「時代」を掴んでいるってことだと思います。

「嵐に耐える強さ」はその「(誰か)を振り向かせる」という意識を持たないことでもあるのかも。
シャンナンは「自分の欲望を自分自身で叶える気持ち」を持つことが必要だったのです。