富士そばの丹道夫さんを知る


新学期が始まりました。
教育をするところに務めて20年、繰り返されるこの一連の行事にも緊張感もないなあ、これでいいのかあと反省もしてみたりするのですが、「まあまあの自分でいいや」という「自分を許す」ということを実践しています。

この前「知恵の泉」で富士そばの会長「丹道夫」さんが出ていて、『富士そば』の経営方針について語っていました。
番組のメインテーマは『鉄道の父 井上勝』のお話だったのですが、『丹道夫』さんの人生も、すごくドラマティックです。

まず、何より驚くのは、上京しては、故郷に戻ることを繰り返したこと。「丁稚奉公」ではつらくてという理由、「炭鉱」はそこが閉鎖されて、そして「父の病気」で。転職すること複数回。
ついに、お弁当事業が成功するのです。そして24時間営業の立ち食いそばで大成功。その時は共同経営で、「事業拡大」につかれてしまい、そば店6店舗とレストランを率いて、共同経営からの離脱。

紆余曲折はあったけれど、「富士そば」に専念した2000年の終わりころから順調な経営になり、今や「ホワイトな会社」として名高いのです。
「アルバイト・パート」にもボーナスを出す会社、として有名になりました。
お正月も「5日まで休業です」という張り紙が張られているらしい、です。(給料だけでなく、休みもきちっとあるってことです)

「知恵の泉」で語られていたのは、「給料が安いと元を取ろうとする」ということです。「丁稚奉公」で見た店の金で飲み食いをする従業員たちが忘れらられないそうです。
道夫少年(15歳くらいだったらしい)が「店の金ではないか」と問うと、「給料が安いんだからいいんだ」と悪びれもせずに答えたそうです。
この時世では1円たりともごまかせないとは思うのですが、お金ではなく何かで元をとろうとする行為は必ずある、ということなのだと思います。
ものすごくよくわかる話ではないでしょうか。

この丹道夫さん、ものすごく「ポジティブ」な人、「粘り強い人」なんだろうな、と思います。
4回の上京。普通なら故郷に戻ったままあきらめるころです。
その「今度こそ」という気持ちに自分をふるい立たせることができた、その根底にはどこかで「なんとかなる」という明るさがあったのだと思います。
そして、「フレキシブルさ」。特に「これでなければ!」というこだわりなく、チャンスをつかむ行動力。
走りながら考える柔軟さ。

社長の座を息子さんに譲ったようですが、是非まだまだ会長で頑張ってほしい。
この方の書いた本も是非、読んでみたいです。