「人生の失敗」という七つ森書館から出ている本を読んでいます。カタログハウスが出している「通販生活」で連載している「人生の失敗」の中から反響の大きかったものをまとめた本です。
もちろん、インタビュー形式で、著者溝口敦さんとの対談になっているので、「語ることが出来る失敗をした人」、というくくりではあるのですが。
ミーハーな私は、芸能人の話がやはり面白い。特にびっくりしたのは、「仲雅美」さん。「愛と誠」の岩清水弘(いわしみずひろし)役だった人です。(1974年の作品です)壮絶な人生を歩んでいます。人気絶頂から自身の仕事がなくなりつつある頃、家族が興した会社経営が上手くいかず、借金を背負い、家庭も破綻。その後酒量が増え体を壊し、生死をさまよい、なんとか生還。
交通誘導の警備員の仕事をしているそうです。
生死をさまよった人の復活後はものすごく強い。もともと日本舞踊を習っていて、芸能界に入るきっかけは「踊り」からだったそうですが、交通誘導はその「踊り」に似ているのだそうです。遠くのドライバーには、大きく、近くのドライバーには小さく棒を振る、その伝える作業が楽しいのだそうです。
なんと前向きな。
そんなこともあり、芸能にも復帰する気持ちが芽生え、少しずつ仕事が増えてきているらしいです。2010年には「東京ディズニーランド」のダンサーオーディションも受けたのだとか。(落ちたそうです)そのチャレンジ精神、すごいです。
なくすものがない人の「強さ」を感じます。「人生の山も楽しいし、谷も楽しい」と言っています。
先月には「徹子の部屋」にも出演していました。
本は2013年のインタビューでしたが、放送によると、まだ交通整備の仕事は続けているようです。
仲雅美、沖雅也と名前の響きが似ているのと、顔立ちがよく似ていた記憶があります。今や美少年の面影は全くないけれど(写真で見る限り)、なにかを吹っ切ったような、何か悟りを開いたような、そんな顔をしている気がします。
全てをなくした人の持つ「開き直り感」。それは悪い意味ではなく死の淵から蘇り、体が健康になった時点で、「何でも出来る」という境地に達したのではないか、と思うのです。
「出来ることからやる」というような謙虚な気持ちにもなったのかもしれません。
「死にかけて物欲がなくなった」とも言っています。
「健康であれば何でも出来る」「生きているだけでもうけもの」という境地。仕事も自分が本当にやりたいものをやる、というスタンスでいながら、チャンスがあれば何でもやってみたい、という「謙虚さ」と「貪欲さ」が同居したような心持。
第二のブレークもあるかもしれません。