西城秀樹の訃報 ~野口五郎のテイクアウトライブカード~


歌手の西城秀樹さんが亡くなりました。63歳。
亡くなるとわかるその人の「偉大さ」、それと「自分が大衆」だということ。
マイケル・ジャクソンのときもそうだったけど、「生きているうちに何か応援できなかったのか」という脈絡の全くない感情が発生するのです。(意味も理由もない)

改めて聴いてみると、この人って歌上手かったんだ、と思いました。
二度の脳梗塞の後のリハビリ、最後まで歌手であることをあきらめない姿は「努力家の人」を象徴していた気がします。
子どもさんもそれほど大きくなくて、無念だったことでしょう。

そう、何を隠そう『新御三家』の世代です。中学高校と「誰がいいか?」なんて真剣な話題だったことが懐かしい。
私は、断然『野口五郎』派。何と言っても「コントがうまかった」(ってそれが好きは理由?)
ともかく何より、「カックラキン大放送」の五郎は郷ひろみよりも、西城秀樹よりも「輝いていた」と思うのです。
ギャグのセンスが抜群で、セリフにも感情がす~っとのっていて、また「間」の取り方が抜群に上手かった。

その感性は「コント」だけではなく、「ドラマ」にも生かされました。
1975年公開の映画『再会』は(私としては)俳優と言ってもいい出来栄えだった感じたことを覚えています。(内容は全く覚えていないけど)

西城秀樹はともかく「一生懸命」だったと思います。
そんなにホームドラマが好きでなかったけれど、「寺内貫太郎一家」は結構見ていて、西城秀樹の「頑張っている」姿は記憶に焼き付いています。

郷ひろみにある、「僕を見て見てすごいでしょ」という強烈な自意識と「自分のことしか関心のないが故の明るさ」
野口五郎の何どこか斜に構えた、シニカルな視点を持ち力の抜き方を知っている、自己分析にも鋭い、「頭の良さ」
西城秀樹には、郷ひろみのような「脳天気さ」と野口五郎の「天性の要領の良さ」がなく、努力する人、一生懸命に自分のやるべきことを地道に果たす人、だったと思います。
若かりし頃の私は、そんなストレートで、一生懸命に歌う(聴いていて疲れた。すいません)、演技する西城秀樹がちょっと苦手だったのです。

30代を過ぎてから野口五郎と西城秀樹は仲良くなったとか。
そして、野口五郎が「テイクアウトライブカード」なるものを考案し、特許をとっていて、大成功していることも今回の西城秀樹訃報のニュース関連で知りました。
それも「病気の後も歌っている西城秀樹の姿を見感動し、(西城秀樹のために)何かしたい」と思ったことがきっかけだったとか。

西城秀樹訃報のニュースから私が抱いていた「野口五郎像」が図らずも正しかったことが証明されたと思いました。
(自慢?)