昨日の日大アメフト加害者選手の会見を見ていて、アメリカ映画の「ア・フュー・グッドメン」を思い出しました。
アメリカ海兵隊の基地の事件で一人の一等兵が殺され、逮捕された兵隊2人が、実は大佐(ジャック・ニコルソンの演技がすごい!)の「制裁の命令、コードレッド」を履行しただけであり、そのことを法廷で証明すべく若き弁護士である中尉(トム・クルーズ)が頑張る、というストーリーです。(1992年制作)
絶対権力のジョセップ大佐(ニコルソン)がゆるぎない力を持っていて、彼の前には、「人権」も「自由」も「個人」もない。
そして、罪を犯した二人の兵隊たちは、自分が何をしたかもわかっていない。
気力も体力も海兵隊(マリーン)のレベルに全く届かないサンディエゴ一等兵を罰するために制裁を加えただけ(そしてたまたま死んでしまった)という理解でしかないのです。
二人は軍の命令に一部の隙もなく従うことが「正義」だと思っているのです。
トム演じるダニエル・キャフィ中尉は2人の弁護を引き受けます。
やる気のないハーバード出のエリートだった彼が海兵隊の悪しき習慣「コードレッド」を知り、人が変わったように自身の持てる力を総てつぎ込み、法廷で大佐と対決します。
将校を法廷に出し、その将校に罪がなければ、キャフィ中尉に懲戒の可能性があるにもかかわらずジョセップ大佐を法廷に立たせたのです。
映画はハラハラ感満載です。(その緊張高まる法廷でのシーンはすごく面白い。怪優ニコルソンの凄みとふてぶてしさは絶品!<アカデミー賞助演男優賞にノミネート>)
最後に逮捕されたドーソン(元)上等兵が無罪になり(ただし海兵隊は除隊処分)、キャフィ中尉に向かい合うシーンが心打たれます。
ドーソンが、「守らなければならなかったのは、『命令』ではなくて(殺された)サンディエゴだった」と言うのです。
昨日の会見で、「たとえ監督とコーチに言われても、やってはいけないことだった。自分で判断できずに指示に従ってしまった」という言葉でそのシーンを思い出しました。
共通することは、罪を犯した人が「ただ命令に従った」ということ。
その人達は「自分で判断することができなかった」ということ。
そして、命令した人物は、徹底的に「言い逃れ」をしたということ。
そこには、「思考停止」でないと組織にいられない「不文律」が存在しているのです。
映画では、法廷に立ったジョセップ大佐がキャフィの誘導尋問で自分の命令だということを話します。(しかもとうとうと)
「のうのうの寝ていられるのは誰のおかげだと思っているんだ。弾が飛び交う危険なところで自分たちがこの国を守っているからだ」(ちょっとテキトー)とすごむのです。
そこには、海兵隊の任務に忠実な自分がひ弱な兵士を鍛えるために制裁を加えたことがなんだ!?という理屈が存在します。
あの監督の「チームが勝つために自分の言うことを聞いていればいい」という同じ理屈と同じだと思いました。
The Marines are looking for a few good men.
海兵隊は少数の精鋭を求めている
(上記)海兵隊募集のキャッチフレーズがこの映画のタイトルになっています。海兵隊は、少数で戦地に切り込み部隊で上陸するので勇気ある者たちという誇りをもっているのだそうです。
映画も、トムとジャック・ニコルソンだけでなく、デミ・ムーア、ケビン・ベーコン、キーファー・サザーランド(24の)、ノワ・ワイリー(ERの)という有名な人達がたくさん出演しているのにもびっくり。(しかもチョイ役)
MUST SEE! です。