パーソン

アベノマスクはインパール作戦だった


アベノマスクが「インパール作戦」にたとえられているとか。(朝日新聞6月1日の記事)

無謀な作戦だったらしいです。

2017年8月NHKで放送された「戦慄の記録インパール」を思い出しました。
現地の映像を始め、写真と当時を知る現地の人へのインタビュー、よくできた番組だったと思います。
上層部の人間関係によってその無謀な作戦を「やらせてやりたい」と決行、「何人殺せば〇〇がとれる」という参謀の何人という言葉は「敵」ではなく「味方の兵士」だったということ、現地で反対を唱えた将校は更迭されたこと、戦後の英国の尋問で、この作戦の責任の所在を尋ねられると、答えがなかったこと。

ありとあらゆる「負」の要因がそこにはありました。
そして、今も同じ構造が官邸にあるわけです。

精神論のみをかざしていた「牟田口廉也」

いかなる犠牲を払っても精神的価値として行う必要があった。

現地で何人兵士が死のうが、全く意に返さなかった、ということです。
その凄まじい「想像力のなさ」に戦慄を覚えます。

官僚がマスクの製造を業者に発注したことと同じように、指揮官が一兵卒に突撃を命令するのは簡単だったのだろうと思います。

「生き残りたる悲しみは死者への哀悼以上に深く寂しい。国家の指導者層の理念に疑いを抱く。望み無き戦を戦う、これほどの悲惨事があるだろうか」

最後のナレーションはこれはもう言わずもがなの感じです。
NHKの意図的な「怒り」を感じます。
これは今年のNHKスペシャル「全貌226事件」とも被ります。

いわなくてもわかるだろう的な、はっきりさせると相手に悪い、という空気。
「作戦」の失敗を覆い隠すことが組織を守ることとされ、上層部個人の名前では責任を追求されない。(かばい合う)
しかも、当事者ではなく、バックがない(後ろ盾)がない人、組織で言えば中間層のどこにも所属していない人に「実質的責任」がまわってくる。(ノモンハンがそうだった)

牟田口廉也は、部下を無駄死にさせた「責任」をとることもなく、77歳まで生きた。
非常にバカげた非科学的な言葉を言ってしまうと、なぜ「呪い殺されなかったのか」と思う。
歴史家の保阪正康さんの書いた本で、インパール作戦で生き残った人へのインタビュー中、「数珠を握りしめながら、牟田口廉也だけは許せない」と振り絞るような声を聞いた、という話がありました。
そんな「恨み」も跳ね返すほどの「鈍感力」があったのでしょう。

牟田口廉也か安倍晋三か、という話ではなかったのですが、共通項があるような気がする。
自分への非難は相当敏感に反応する割に、何か「共感力」のなさ、全て人ごとのような感覚。
「ことばを操るのみの実質性の無さ」、そしてどこか「特権階級意識」
私たちはもっと怒っていいんだと思います。

そして、唯一の違いは、まだ8割が配達されていない「アベノマスク」、まだ作戦中止、撤退ができる、と上記小田嶋さんの絵を借りました。
最後の1文はいただきました。

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