上野千鶴子のスピーチに思う 



上野千鶴子さんの東大入学式祝辞が話題です。
東大の男女比率が8:2だなんて、全く知りませんでした。
行けても行かない、東大をあえて避ける女子がたくさんいるってことでしょうか。
雲の上の話なので、関心がなかったのだけど、男女比率には驚きました。

ちなみに、オックスフォード大もハーバード大もほぼ、5:5だそうです。
ソウル大も北京大も同様だそうです。
議員にしろ、企業の管理職しても、女性の比率が他の先進国から比べると圧倒的に少ないのも、頷ける話です。

東大に優秀な女子がたくさん入る→国会議員になる&企業幹部になる→日本の政治&会社が変わるって単純にはいかないのでしょうけど。
東大の女性総長もまだいないのですね。

それにしても、4月15日の「モーニングバード」のやりとりはすごかった。
冒頭コメンテーターの玉川氏が「僕はここで(東大入学式会場)女性の幸せについて聞きたかった」と始まり、でも上野先生の祝辞で聞けなくなったという意味のことを述べました。
そして、玉川氏が同じコメンテーターの山口真由氏に「女性の幸せってどう思いますか?」という質問を投げかけたのです。
なんと山口氏が「結婚して、子どもを産んで、きちんとした家庭を作ること・・・・」と答えていたのには、びっくりしました。
「上野先生は成功された女性ですよね。自分はラッキーだったことにフォーカスすればいいのに・・・・」と続けたのには、はあ?と。

「女性の幸せ」ってなんですか?くらい言ってほしかった。
「私自身の幸せ、人としての幸せなら答えます」って切り替えしてもいいのでは?

次いで、玉川氏、女子アナのお姉さんに「女子アナは女性の勝ち組だと思う。〇〇さんは、どう思う?女性としての幸せって?」
お姉さんは「仕事も結婚も」なんてやっと答えていたけれど、もっと言いたいことがあったのでは。
玉川氏、「(山口さんと)近いですよね」と受け、自分の意図する流れになり、超ご満悦にままでおしまい。
朝からちょっとゾッしました。

上野千鶴子は何もそんなこと言っているのではない、と思います。
東大に女性が少ないのはなぜか?
何故東大サークルに東大女子が入ることができない理不尽が存在しているのか。
東大に入った新入生全員にちゃんと考えて欲しい、と。

人の幸せを否定してもないし、「女性の幸せ」も否定しているわけでもない。
自分たちの恵まれた環境に思いを馳せ、決して奢るな、と言っているわけです。
どうしたら社会が良くなるかを考える義務がある、ということを言っているのです。

「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください」

他者を思うことを怠るな、と。
考えてみたら、あのスピーチは最高の「賛辞」でもあったのだと思うのです。
「あななたちは世のために働き、人の為に動き、よりよい未来を作って欲しい」と。
ここはそんな人たちの学び舎であるべき、と。

上野千鶴子のスピーチには、自分がどうとかこうとかの視点は一切なかった。
(日本の)女性の後進性を憂い、未来を少しでも希望が持てる社会にするにはどうしたらいいかを問い、その一翼を担う人になるために「知性」を磨け、「知性」を獲得しろ、と激励したのです。