「いつも心に樹木希林」 


長~いゴールデンウィーク、大したこともしなかったけれど(「令和」関係のテレビは結構観ました)書店で「いつも心に樹木希林」(キネマ旬報ムック)を購入しました。
色々と溢れている樹木希林さん関係の本の中で、なぜ私がこの本を手に取ったかというと、表紙の樹木希林の写真が素敵だったからです。

赤いブラウス型の上着と黒いスカート(下にはジャージ?みたいのを履いている)がとっても似合っているのです。
SWITCH Vol.34 No.6 樹木希林といっしょ。SWITCH 家族ケセラセラ選べないきずなの物語に至っては、amazonですごい値段になっています。
いや~、樹木希林すごい。

で、「いつも心に樹木希林」の中で何が一番面白かったかというと、久世光彦(演出家/作家)の対談と久世光彦のエッセイ。(つまり久世さん)
徹底的にこの雑誌を読みこんだわけではないのだけれど、なぜ一番面白いのかはよくわかります。
この人は、樹木希林を全く怖がっていないのです。
面白がっているのです。
すると、樹木希林がまたそれに乗っかって、面白い話をする、「相乗効果」ってヤツですね。
やっぱり、久世光彦とのコンビは唯一無二だったことがよくわかります。

そして、次に面白いのは、東海テレビ放送プロデューサーの阿武野勝彦さんの樹木希林との「ギャラ交渉」の話、この人、とっても頭が良い人だと思います。

中略

「仕事は来た順、出演料の高い順」と言っていたが、晩年の希林さんは、そんなことはなく、夥しい数の仕事を断っていた。わずかに引き受けた中で、出演料の交渉を楽しんでいたような気がする。それは、人間観察の達人にとって、お金の話をすると時の相手の立ち居振舞がこの上なく最高のご馳走だったからに違いない。

ちなみに、一番面白かった件は、
樹木希林が雑誌を編集して、見出しにダメ出しをして自分のお金で印刷をやり直し、それがとても売れてしまったという「郷ひろみとの対談」の話。
松田聖子との決別の後の郷ひろみを励ますために持ち込まれた企画に希林さんが乗り、対談。
よそよそしかった郷ひろみの言葉を切り貼りし、松田聖子も悪者にせず仕上げたら、印刷所の人が「郷ひろみってこんなに頭がよくってカッコ良かったんだ」と言ったとか。
そして「郷ひろみ、松田聖子のことを赤裸々に語る」を没にし、”独占インタビュー郷ひろみ”「コケにされた男の正しいコケ方」に変えたとか。

明るくアイドルしているけど、なんとかしてあげたいと思った、聖子ちゃんの将来も考えた、と語り、だけど、今の二人を見ていると、まったく必要なかったと笑い、私の方がなんとかしていただきたい、とオチを付ける。

すごい!!
郷ひろみの(樹木希林からすれば)、「ちょっと足りない」部分をさり気なく暴露し、聖子ちゃんの腹黒さを暗にほのめかし、二人のしたたかさを笑う。
クレバーな人であることは間違いない。
そして、それを引き出す久世光彦(くぜてるひこ)、名プロデューサーでもあり、エッセイの面白さはやはり作家でもありました。(この方は2006年に71歳で逝去)