「瓔珞」~明玉と海蘭察~



サイドストーリー的ロマンスだった女官の明玉と(ミンユ)と海蘭察(ハイランチャ)。
てっきりこの二人は結ばれて、ハッピーエンドになると思っていたら・・・・・
明玉は純妃の陰謀で体に針を入れられていて、腕の良い待医葉天士にも取り除けない針が残り、いつどうなるかわからない状況になってしまったのです。

海蘭察役の俳優さんは、ローレンス・ウォンというシンガポール国籍の人で、なんと日本でデビューするべく準備をしていたことがあったとか。(日本向けドラマPRの映像で、挨拶を日本語でしていました)
ネット記事だと、事務所の都合でデビューが見送られた、ということが書いてあったり、「(仕事の場所へ)早く行って挨拶をしてまわったり、数分の遅刻が認められない環境に馴染まなかった」と発言している、と載っていたり。

ネット記事だけでは何とも言えないけれど、ちょっと日本の芸能界の特殊性を垣間見た気もします。
随分前だけれど、収録前にあいさつにこなかったと島田紳助が東京03というお笑いトリオに激怒した話は未だに語り草になっているだけに、「挨拶してまわる」は信ぴょう性があります。
令和になったからといって、急に「挨拶しなくていい」とか「ちょっとした遅刻なら認められる」になっているわけがないのです。

ローレンス・ウォンさんの海蘭察は、始終明るくて、お茶目で、この人の素が出ている感じがしました。
明玉も前半の瓔珞との対立からの親友になるプロセスは、なんとも微笑ましく、二人のシスターフッドは、この「瓔珞」の明るい部分を担ってました。

明玉は最初傅恒を好きなのですが、自分に脈がないと諦める。
そして、気軽に話していた海蘭察と少しずつ関係を築いていきました。
それは、最後まで傅恒に執着した爾晴との分かれ道でもありました。

ここに、ちょっとした人生のヒントがあるような気がします。
執着することによって、見えなくなるものがある。
諦めることによって、見えてくるものがある。
それは「人」だったり、「物」だったり。
明玉は「視点」を変えてみることができ、だからこそ海蘭察との関係を築くことができたのです。
爾晴にはなかった「視点」でした。

反対に言えば、「妃たち」は「皇帝」に仕えるほかなく、他の選択肢がない分悲劇になるのでしょう。
「紫禁城」で「皇帝」に手を付けられた以上、死ぬまで留まるしかない、という「掟」があったのです。
「瓔珞」もこの悲劇のもとに物語が作られています。

「瓔珞」の成功は、何を優先するか目標が明確だったこと、達成するための「執念と知略」があったこと、そして一時の感情に溺れることが一切なかったこと、あらゆる条件クリアしたことでなしえたのです。