「梨泰院クラス」を観て、斬新さを感じたのが、セロイが最後にイソを選んだこと。
内容は全く知らなかったけれど、番宣のフォトからキム・ダミがヒロインなんだということはわかっていたけど、ドラマを観始めて「この関係でどう持って行くのか」とそこにも興味をひかれました。
「スア」の合理的に自分の得になる方を選択するその生き方は、両親がいずに一人で生きてきた背景があり「長家」の援助を受けて「長家」に就職したのは理解できても、セロイとの再会後も「長家」に居続けてチャン・テヒの言いなりになっているのは理解しがたかった。
スアの美しさと頭のよさと一人で生きて行こうとする強さに惹かれたセロイ。
セロイと「長家」の板挟みで苦しむスアを解き放ってあげたいと思うセロイ。
イソは長家の次男グンスと一緒に「タンバム」にいるところを未成年ということで警察に捕まり、「タンバム」を営業停止2ヶ月に追い込んだ負からのスタート。
そしてまた、イソは他人の感情を理解できない、思ったことを後先見ずに発言できる社会的病質者つまりソシオパスという設定。
全話観て思うのは、そこまでの「病質者」ではないんじゃないか、という疑問。
おそらく、ヒョニのトランスジェンダー、トニーの肌の色、スングォンの前科者、グンスの庶子、その流れでイソを「社会的不適応」にしたかったのだろうと推察。
セロイの幅の広さと全方位に向けて「受容」する、ということの後付けでもあったのでしょう。
イソは強烈に真っ直ぐなセロイに魅了されます。
今まで生きてきて、出会ったこともない「壮絶な過去」とそれに負けない「信念と目標」を持った人物。
思うに、スアがセロイを待っていた(「金持ちとしか結婚しない」と言っていた)こととは真逆に、イソはセロイを成功者にすべく自分の持てる力を使いに使い、終盤その過労によって倒れるまで自ら動いた、その違いでセロイの選択が変化したのではないか、と。
スアはセロイが自分を好きだ、ということを確信していた。
その確信からセロイが成功するのを待っていた旧型の「ヒロイン」だった。
終盤前「復讐をやめて自分と小さな幸せを築こう」とスアがセロイに言うのですが、その提案は失敗でした。
セロイへの理解が浅かった。
セロイは「長家の崩壊」を見届けることが何より最優先だったのです。
それを一番よく理解していたのがイソだった、のだと思います。
安定大企業に居続けるスア、大学進学を自分の意志でやめてセロイの事業を拡大することに道を見出したイソ。
イソは欲しいものを自分の手で取りに行く人だった。(セロイへの愛を口に出してゆく)
事業を拡大してゆく中で、イソの存在が必要不可欠になっていく。
イソがいなくては「長家」への挑戦も不可能だった。
その必要性も含めてイソが「愛の対象」となってゆく。
セロイの中で、「事業成功」が最大目標だとしたら「イソの選択がベスト」と事業家としての知恵が働くことは「悪」ではない、と思ってしまった。
そして、その「必要不可欠の存在」へ登りつめたイソの作戦勝ちだったのだ、と確信しました。
これはある意味厳しい結論でもあります。
「才能ある人になれ」「人は努力すべき」「待つだけでは向こうからやってこない」
勝ち組になるには『それを凌駕する頭脳と戦略が必要』ということなのでしょう。
イソを選んだセロイは、無自覚にも「僕にとって必要不可欠の人が好き」ということを明らかにした、ともいえるのです。