「北京女子図鑑」「上海女子図鑑」ときて、「東京女子図鑑」までもコンプリート視聴。
中国の2つで言えば、「上海」の方が好みで、尺で言えばその半分の「東京」に期待していなかったものの、いい意味で予想を裏切られました。
確かに、「東京」は仕事の場面での掘り下げが中国2つから言えば物足りなさがあるものの、「リアルな絶望感」を描いていて、その直視が反対に心地よく感じたのです。
(水川あさみの家賃やらお給料やらの現実離れした感はおいておいて)
中国の全体に「希望」を内包している「女子図鑑」とは一線を画した気がします。
日本、東京の「限界」、つまり「どこか行き詰まった感」。
中国の「地方出身」と「北京・上海」に戸籍がある人とのちがいは、「戸籍制限」(いろいろ緩和はされているらしい)があって地方出身者が「都市戸籍」を取得するのは、大変なことだそうです。
日本の「戸籍」は平等ですが、中国で都市に住むには「都市戸籍」が優先で、家の所有、子どもの学校等、区別があるらしいのです。
それでもヒロインの水川あさみが手に入れたものの「小ささ」が中国との違いを突き付けられるし、グローバル感までを醸し出した「北京・上海」にかなわなかった、と思うのです。
ただ、私は東京女子の以下の言葉(名言ではない・・・・)が全てを凌駕したと思わずにはいられません。
つまり「言論の自由」という何物にもかえがたいものを表わしているのです。
子どものいない女たちとの会である女性が犬を抱きながら独白する言葉
略
「産めよ増やせよ」って政府の掛け声に乗っかるのは知性も能力もない女たちが多くなる。それって劣勢の遺伝子ばっかりが増殖してるってことなんですよ。
その上、教育環境も子育て支援もひどい有様だから劣悪な遺伝子がろくな教育を受けられないまま育ってしまう。でも政府にとってはそれが狙いなんですよね。ただ税収を増やすための駒が欲しい。目指すは衆愚政治。バカな国民の方がだましやすいでしょう?
だからこの国で子どもを作るってことは、世襲議員の独裁国家づくりに貢献するだけなんですよね。
すごい皮肉。
その後に二人の泣き叫ぶ子どもを抱えた主婦が「それでもやっぱり幸せです」というセリフをカメラ目線で話します。
そして何よりのお気に入りのセリフは、
ちょっと太った女性が、アイドルグループのパフォーマンスを見ながら
『「みんなに勇気を分けてあげられるようなそんなアイドルを目指します」
わけわかんない。
若くて、可愛くて、細い女の子が、観ている人に勇気を分けてあげたい?
私みたいに、若くも、可愛くも、細くもない女がミニスカートで踊る、それが勇気でしょう。
これみよがしに若さひけらかして、「勇気」を??若けりゃなんでもできるのよ』
国にも絶望し、その絶望を直視した「東京女子図鑑」
それでも水川あさみの小刻みに「目標」を変えていくしたたかさと、人間関係をゆらっと渡り歩く器用さと割り切りの良さ、「絶望」ではない「希望」を体現していた、絶妙なキャスティングでした。
ラストの実際の夫(ドラマ上の)と水川あさみと高そうな犬を連れたイケメンの男とすれ違う水川あさみ(二役)のシーンは超シニカル!!