「愛の不時着」 ~どうしてこうもハマるのか~



「愛の不時着」7巡しているツワモノもいるらしい。
私の4巡なんてまだまだです。(とは言っても、4巡目ももう終わるけど)
4巡しているとよくわかる、リ・ジョンヒョク演じるヒョンビンの細かな表情筋の変化、アクションシーンの完璧な美しさ、セーターを着てもわかる上半身の盛り上がった胸筋、ダウンコートの腕周りが上腕二頭筋でパンパンだってこと。

ヒョンビンのどこをとってもやられる。
逞しくセリを守る姿と、銃を持つその手が作る数々の料理、セリの要求に応えてコスメ、必要だろうと、でも直視はできずに当てずっぽうで買ってきたランジェリー。
軍人のオレ様的な「男のプライド」とというやっかいなものを持たなかった。

決して、自分が出来る人間だとも誇示しない、「男のメンツ」に縛られていないフリー感。
北での最後、セリを送ってゆく軍事境界線の森を行ったり来たりして、「実は夜目も利かないし、方向オンチだ、すまない」と言ってしまうその度量。
「少しでも一緒にいたい」という言葉もセリには負担になるという配慮があったのだ、と思いました。

軍隊も軍人も不要な世の中であってほしいと思っているのだけど、マンボクの財布をすった怪しい男を追いかけて、軍服のベルトを使い闘い、その後にそのベルトを着けるとき、ギャッ~!と叫びたくなるくらいセクシーなヒョンビン。
追い詰められ、セリを捕らえたとチョルガンに脅され、手を上げる姿さえカッコいいヒョンビン。
その後、(セリの機転で電気が消えた)暗闇の駐車場で、セリの声だけを頼りにセリの居場所を探す、実は目も方向感覚もバツグンにいいことを証明したヒョンビン、いえジョンヒョク。

ソン・イェジンも良かった~
北でのコミカルさとシリアスのギャップ。
南での美しさとセレブ感の表出。(北ではちょっと素朴な可愛さ、南ではスキのない美しさを表現したソン・イェジン)
「私にはお金も権力もある。ここでは自分の身を自分で守ることが出来る。あなたは帰っていい」なんて素敵なセリフ。
今までヒロインの誰がこんなセリフを言えただろう?

そのジョンヒョクとセリの北と南の(つまりは前半と後半)関係の描き方がまた上手かった。
北ではジョンヒョクが徹底的にセリを守る、セリの動静に目を光らせ、身体を使い「必死」になる。
南では、セリのセレブ行動に付き添い、暖かく「見守る」
ヒョンビン、いえジョンヒョクのスーツ姿はセリのセレブ感と相まって、素敵。

そして時にセリの「(過去の)恋人関係」にやきもちを焼く。
でも、決して「今は自分のモノ」的な発言はしないし、(状況も状況なので)未来のセリも縛らないジョンヒョク。
セリもジョンヒョクの(恋愛)経験の少なさを決して貶めない。
気付くのは、「経験豊富な男子」と「うぶで純粋な女子」のパターンをひっくり返した意図的なキャラクターデザインだった、ということなのです。

二人のポテンシャルの高さと気高さと互いを想う気持ち、そして「あきらめない」力が難事を解決して辿り着くHappy End に胸が躍る、そのカタルシスから逃れられない。
一連のストーリーを∞(無限)ループしたくなる麻薬性が「愛の不時着」にはあるのです。