「愛の不時着」~10話はセリが全開!!~



「愛の不時着」のいいところは、「金持ち」「貧乏」を超えた「国境」という壁が立ちはだかり、富裕と貧困というテーマからは、距離があったということです。
何より、リ・ジョンヒョク自身も社会的身分の高い父を持ち、スイスに音楽留学をしていた経歴もありということ、そしてその夢を捨てて軍人になってからの彼は、何の欲を持っていないので、セリへのコンプレックスは皆無でした。

その出発点は重要で、セリは自身の持っている物に吸い寄せられた人を見ていたため(ク・スンジュンもその一人)北に不時着した直後は、懐疑的なところがありました。
リ・ジョンヒョクが「欲を持たない人」ということを理解し、その人柄を実感することがセリには重要だったのです。

そう、エピソード10、帰ってきたセリは自分の葬儀に登場、自らの無事を証明し、義理姉が開いた理事会では、危うく「セリズチョイス」が吸収合併されるところを止め、やっとわが家へ。
セリの南での存在はやはりゴージャスで痛快感を味わえます。
北では示せなかった「セレブ感」を思いっきり表すことができて、セリの面目躍如って感じです。

セリの無事を喜ぶ広報室長のホン・チャンシク(コ・ギュピル)とセリの保険担当者パク・スチャン(イム・チョルス)の二人がツボです。
北のジョンヒョクの部隊員4人組ほどのインパクトはないけれど、南のコミカル担当コンビです。
あと、一番上の兄夫婦は、二番目兄夫婦の悪魔的底意地の悪さと比べてちょいマヌケで憎めない。
義姉の「テーバ」(すごっ!まじかっ!って感じ)連発の大っぴらな欲の塊も天晴です。

セリの住まいの豪華さ。
北のリ・ジョンヒョクの宿舎とは大違いです。
泡のお風呂でアロマをたき、ワインを飲みながら手足を伸ばす。
それは窯たき風呂とは違うし、ベッドは広くてふかふか、手をたたくと電気が消えたり、停電の心配もない、と喜ぶ。
でも、北では眠れたセリが「薬」を飲まなければ眠れない南のセリが復活、ジョンヒョクの存在のなさが心の空洞になっています。
死ぬほど帰りたかった自宅にいて、どこか北をなつかしんでいるところがあるのです。

そしてチョ・チョルガンの裁判が開かれ、強制収容所行きが決まります。

しかし(案の定、物語上ここで終わるわけがない)チョルガンは逃亡を企て、ジョンヒョクにセリを捕まえるという脅迫状を送り付け、まんまと南へ行きつくわけです。
その後を追うジョンヒョク。

10話のラストが素敵。
セリがぼんやり歩いていると、ジョンヒョクがセリを見つめている。
服装はありきたりだけど、ヒョンビンのスタイルの良さが分かります。
この場面は、北の市場でヒョンビン、いえジョンヒョクがセリを見つけたバージョンの踏襲ですね。
北では不安と恐怖のセリだったけど、南では自分の庭のような通りで予期せぬジョンヒョクとの再会。
美しい「サプライズ」です。