「愛の不時着」 ~8話は4人の分岐点~


前話でダンはジョンヒョクの入院していた病院で繕った軍服を見て、セリがいることを察知。
「付き添っている人がいるんですね」と言います。
ジョンヒョクは「君の想像通りの人だ」とはっきり伝え、自分には好きな人がいる、君とは結婚できない、とまで言い切ります。

その後闇(?)の南のファンション雑誌で、セリの記事を見つけ、ジョンヒョクに問い詰めます。
「(セリの素性を)知っていたのか」そして「全てを、命さえも失うことになってもいいのか」と。
「死にたくはないが、彼女を安全に帰すために自分がどんな目にあっても仕方がない」というジョンヒョク。
ダンもジョンヒョクのために何でもする覚悟だ、と応酬します。
ダンのプライドを感じますが、死んでしまったような目で親が決めた「結婚の日取り」にも従う姿勢を見せていたジョンヒョクの変化に驚きます。

傷も癒えていないジョンヒョクはセリがスンジュンと病院を後にしたことをつきとめ、探し出そうとします。

一方、スンジュンはセリがジョンヒョクと一緒にいるとどうなるのか、自分の命と引き換えにセリを北に留め置き、チョルガンとも結託していることを隠し、セリがジョンヒョクを危険にさらしていることを強調します。
セリの気持ちがジョンヒョクに向かっていることを知りつつ、セリとの「縁」を引き寄せようとする、最後のあがきのような場面だった気がします。

スンジュンの複雑だけど、根底に流れる「人の好さ」が発揮されるのはこのあとですが、このスンジュンを演じたキム・ジョンヒョンはまだ30歳で、4人の中で一番若く、でもなかなかの俳優だと思います。
ジョンヒョクの対となる人物で、人を愛することを真っ直ぐに表現できないところは、セリと似ていて、結局ソ・ダン(ソ・ジヘ)の真っ直ぐさに心惹かれてゆく。
結果論だけど、ジョンヒョクとダン、セリとスンジュンは似ていたのかもしれません。

この8話は、スンジュンとセリ、ジョンヒョクとダンの4人の関係の分岐点だったと思います。

ジョンヒョクは、スンジュンの隠れ家を必死で探し、ヒョンビンの華麗なるアクションで雇われボディーガードをなぎ倒し、セリと再会します。
撃たれてまだ傷の言えないジョンヒョクを心配するセリ。
「どうして・・・」と問うセリに「心配だったから」というジョンヒョク。
気持ちとは裏腹にスンジュンと南に帰るということを告げ、自分のことは心配しないで帰るように言うセリ。
「わかったから、泣かないで」
立ち去るジョンヒョクですが、結局車で追いかけるセリ。(結果的にはチョルガンから逃れた)
雪降る森の中、無言で抱き合う二人が美しい。

行ったり来たりの回だったような気がしますが、セリがジョンヒョクにプレゼントをしようとした「時計」の使い方の上手さ。
この時計は亡くなった兄ムヒョク(ハ・ソクジン)にジョンヒョクがプレゼントした時計で、兄の死につながったチョルガンの不正を告発した(予備の)データが入っていたのです。
セリが質屋から買う→セリがさらわれる際に落とす→盗聴業務についていて兄の死にも関わっていたマンボク(キム・ヨンミン)の息子ウピルが拾って父に渡す→マンボクからジョンヒョクの手に渡る。

秀逸な脚本です。