最近視聴した「ピョン・ヒョクの恋」傑作!というドラマではなかったのですが、その「権力者」VS「非権力者」の構造。
財閥3代目と庶民とが手をつないでの「権力者」に向かってゆくプロセスにユーモアがあり、ストレスなく引き込まれました。
何といっても、権力者、財閥ガンスグループ会長(2代目)を演じたチェ・ジェソンの名演技が光りました。
ワンマン経営で自分の力で財閥にのし上げることができた自信(父親は醤油屋だった)、一種の「恐怖政治」で威圧し、家庭も会社も運営する、そんな人です。
かなりの横暴父&会長なのだけど、憎みきれないパーソナリティーで微妙なさじ加減を醸し出すその演技力に驚きました。
財閥3代目の息子役のピョン・ヒョクを演じたシウォン(KPOPスーパージュニア)もまた上手でした。
父から逃れるために遊び惚けていて、しりぬぐいは全て会長の専属運転手を父の持つコンミョン(5urprise、今は解散)演じるクォン・ジェフン。
ジェフンは父の会長に対する忠誠心を憎みながらも、ガンスグループに入社、会長とヒョクの兄ウソン(イ・ジェユン)に(不本意ながら)仕えている。
そこにアルバイトガールのカン・ソラ演じるペク・ジュンが現れ、ヒョクはジュンのガッツと真っ直ぐな精神と働くことへの意欲に刺激されていくというストーリーです。
ジュンの働く姿の美しさを知ってからヒョクは変わってゆきます。
ジュンのような立場の人、一生懸命働くものの、雇い主の気持ち一つで虫けらのように扱われる、そんな「非権力者」に目を向けるようになってゆくのです。
ヒョクは父に恐怖心を持ちつつ、尊敬の念も抱いていました。
権力の上に上り詰めたその父、その恩恵を受けるのが当然と考える兄ウソン。
ヒョクはジュンと接しながら「学力」「思考力」「行動力」を身に着け(もともと能力はあったという設定)、父・会社の矛盾を感じ、改革をしようと決意するのです。
一種ファンタジーのていの、清掃員の3人組の応援(またこの人たちが良い人)、確執があったジェフン(コンミョン)との真の友情への移行、ジュンとの恋はあっさり描かれるのですが、全体を通じての「人情」溢れる様子は心温まるものでした。
ヒョクが少しずつ勝ち取ってゆく弱者の権利、「食堂の利用」「契約から直接雇用」「清掃員からのキャリア雇用」はドラマとはいえ、楽しい胸躍るstoryでした。
ジェフンがヒョクに聞いた「おまえはどんな社会を望んでいるのか」という問いに「おまえやジュンが勝てるような社会だ」という答えにグッときました。
父、ヒョクパパは、ヒョクとジェフンによって、収賄・横領の罪で服役します。
最後までその罪への意識の無さを貫いた父ですが、服役中に解雇した専務を会社に戻し、決して「好悪」で会社を運営していたのではない、と証明しました。
ヒョクの「父が逮捕されてしまっても会社は動いている、父だけの会社ではなかったのだ。そして会社はそんなに変わってはいない」と呟きます。
現実に即した着地点でもありました。
ヒョクオンマのキョン・ミリがドラマのオアシスでした。
財閥ママでは歴代NO1の可愛さだと思います。
あの「チャングム」でイ・ヨンエをいじめた人とは思えない(古!)、キャラクターでした。