世界は主役だけでは成り立たない~脇でひかる方法~


楽しいドラマを継続して追求しています。
で、「力の強い女ト・ボンスン」。
第1話は見逃してしまったのですが、なかなか面白い。
何より、主演のボンスン演じるパク・ボヨンがとてもかわいい。
「上流社会」で注目したパク・ヒョンシクもいい!

が、何といってもこのドラマ(まだ視聴は途中ですが)の影の主役は、ボンスン(パク・ボヨン)に殴られ、前歯がなくなったチンピラ役とヒョンシク演じるIT会社社長ミンヒョクの部下でオネエな社員役の二役を演じている、キム・ウォネ。

あの一世を風靡したエンターテイメント舞台「NANTA」で活躍していた人らしいのですが、NANTAを辞めて一度は事業に乗り出すも、一年で区切りをつけて俳優に転向。
徐々に世に出てきた人、なのです。

前歯がなくってフガフガのまま、豆腐を食べてボロボロこぼしてみたり、一転、超嫌味なオネエでボヨンちゃんをいじめてみたり、「変幻自自在」の俳優です。
本人曰く、「チョン・ウソンのような美男子でなかったからこそできたこと」と。
そんな人をシーンスティーラーと呼ぶらしいのですが、「場面泥棒」っていうことです、なるほど。

脇の人が注目されるのは、「どうしたら視聴者を引き付けることができるか」を自分の頭で考え、進化させながら場数を踏むからだと思います。
主役の人の出番からすると遥かに少なく、掛け持ちが可能故に、いろんな人物を演じるってことが、彼らの糧になるのでしょう。

このシーンで爪痕を残すぞ、という心意気がベースにあるのです。

主演俳優は、演出からstoryから全部主演に向かっている、いわゆる「王座」に鎮座する人たち、案外きっちりとした決まりで「自由度」が少ないのかもしれません。
脇の演出には「役者の裁量」があり、彼らの出番も「箸休め的」なシーンでもあり、「どうぞお好きに」なところもあるとしたら、「何やってもいい」楽しさもあるような気がします。

「かっこよく」でも「美しく」も求められない「気楽さ」、このポジションが「脇」の楽しさでもあるのでしょう。

日本で言えばなんといっても、故樹木希林さん。

今月で再放送(BSプレミアム)が終わった、「葵三代」での春日の局役がステキでした。
将軍家光の名代で天皇に謁見するシーンは彼女の真骨頂を発揮。
平伏しつつ御簾の中にいる天皇をのぞこうとする演技は、「神業」!
これは、絶対アドリブだと思いました。

つまるところ、「楽しんでるんだろうなあ」と思いました。
脇を楽しむ。追求する。

脇で成功した人、している人は「脇でいることを楽しんでいる」
この真理は案外全ての「成功」に繋がるかも、そんな気がします。