樹木希林さんのエピソードの面白さはなかなかロックで、つきることがありません。
あの吉永小百合さんとの対談(「いつも心に樹木希林」から)では、さんざん吉永小百合のいいところを誉め上げて、「それがあなたの魅力なんですよ。ところで、どちらの整形に行ってます?」なんていう発言をしてしまう。
どこに天下の小百合にそんなことを聞ける人がいるでしょうか!?
小百合さんは「えっ、どこも直していません」と答えて、次に「ほんと、どこにも爪あとないですね(笑)」という返し。(超ロック!!)
よ~く読んでゆくと案外話はかみ合っていないのです。
吉永小百合は、優等生な発言をしてしまう宿命なので、しかも努力家で謙虚でキレイで、主役を生まれながらに背負った人だと思います。
それに加えて、賢い吉永小百合は、樹木希林への憧憬というか、樹木希林へのかなわなさを承知していて「賛辞」を送る、その「賛辞」をひょいとかわす、樹木希林。
でも、樹木希林もちゃんと女優としての吉永小百合を認めていて、主役女優にはない脇の楽しさを語ります。
監督から言われたセリフをどうしても違うと突っぱねた小百合さんに、「そのたった一つの台詞を譲らなかったのを見て、私は小百合さんのことを認めましたよ」(それがなければ認めなかったっていう意味でもある)
それに対して「でも、あのときは凄く辛かったんですよ。自分では、間違っていないと思っていましたけど、それで監督を苦しめているころもよくわかりましたから」
希林さんは、「私なら、いや、それは監督の考えが間違っている、新人のときの恩は恩、これはこれ!」というと。
その鋭さに動揺することもあった、という小百合さん。でも、希林さんの言葉に嘘がなくてその一言一言に重みがあるのるんです、と。
二人の共通点は割りと少なく、人としてのダークな面をどうしても人前で晒したい希林さんは、小百合さんの「優等生的発言」をかわしつつ、話題を広げようとするのですが、なかなかうまくいかず、だんだん飽きてきた感じでした。(あくまでも個人の感想です)
対談ラストにこんな映画を二人でやれたら、という話を吉永小百合が樹木希林にするのですが、その返答がまた素敵。
2007年くらいの対談なので、樹木希林はがんを発症していて、すでに諦観をもっている感じです。
「はあ・・・・・元気ですねえ」と答えていました。
やる気はないのが見え見えの樹木希林、吉永小百合のリップサービスととったのかはわからないけど、この切り替えしは、「ところで、どちらの整形に行ってます?」と並んでおかしかった。
全く違う道を歩いていた二人ですが、「夢千代日記」で共演しているのですね。
その毛色の全く違う二人の、でもやはりちゃんと向かい合う関係、大人です。
ちなみに、上の写真「SWITCH」は、Amazonで4500円~の値段がついていて、買えません。
なんでこんなに樹木希林本が売れているのか。
言いたいことを言って、その発言の正しさとおもしろさ、一切の「忖託」がないすがすがしさ。
「あこがれ」なんだと思いマス。