良いドラマは人生を豊かにしてくれます。
歳をとるにつれて、人の生きざまが描かれたドラマに惹かれるようになりました。
繰り返しになるけれど、「王朝もの」「宮廷もの」がとても好きです。
なんといっても、そこには「人の欲望」「権謀術数」がうずまき、生きるか死ぬかの厳しい世界で、知恵の限りをふりししぼり、自分の行く道を模索します。
そして、「生死」の厳しさはないけれど、どうやって上り詰めるかは、現代の会社組織とも共通するものがあるわけです。
誰につくか、つかないか。
意に反しても媚びを売ったり、頭を下げたり。
自分の意志を貫き、我が道を模索するか、仲間を増やすか。
機会を捉えるか、見逃すか。
登場人物の誰に共感できるか、ちょっと嫌いだったりするか。
「悪役」に対する感情も昔とは違っています。
「悪」の存在があるからこその「理想的未来」を持ち得るのであって、「悪」が退却してしまうと、目標を見失ったり、仲間ウチで対立したり。
「悪役」の存在があって理想が形作られ、困難を乗り越える力を得ることができたりするのです。
人間界の出来事は、「ドラマ」でも「現実」でも、古代でも現代でも変わりないことがわかります。
そして、「善徳女王」が終わり、「奇皇后」を見始めました。
韓国のオンエアは2013年~2014年、5・6年前です。
実は、数年前には視聴していて、再びの視聴です。
まだ冒頭の領域を脱していないのですが、一回の視聴で確実に実感したのは元の皇帝タファンを演じた「チ・チャンウク」の魅力です。
父皇帝がヨンチョルという悪者に殺され、自分は国外追放。
生き延びるため、ヨンチョルから「間抜け」のレッテルを貼られるために、字も読めない、剣術も出来ない、という人物を装うのではなく、ホントにそんな人物になっていました。
そんな自分をどこかふがいなく思っていたのですが、ハ・ジウォン演じるスンニャンと出会い、少しずつ変化してゆきます。
高麗王のワン・ユ(チュ・ジンモ)の完成された大人の魅力から比べると遙かに子どもで、情けなくって、わがままで、「未完成」そのもののタファン。
もともとはタファン役、チャン・グンソクにオファーが行ったのだとか。
長期に渡る撮影と、決まっていたスケジュール調整がつかなくてグンちゃんには断られ、その後なかなか決まらず、撮影が始まってからチャンウクに決定したとか。
タンギセ将軍を演じたキム・ジョンヒョンさんは、キャストが決まらない間の台本読みで、タファンを演じ、役柄に惹かれたとか。
このまま決まらなければ、自分に来るかもと勘違いしてしまったと、笑いながらインタビューで答えたそうです。
そして、チャンウクには「『奇皇后』で注目されたのはジウォンさんより、お前だ。だから期待に応えるよう精進しろ」と言ったそうです。
流石、脇を演じている人の「俯瞰的」な言葉です。
主役を張っていたら、プライドが邪魔をしてここまでは言えません。
チュ・ジンモが格好いい大人の男を演じたのに、チャンウクに持って行かれた感じで結構口惜しかったのでは、と推測されます。
チャンウクの奇皇后がらみのインタビュー記事で、「ジンモさんとは撮影が別であまり話が出来なかった。『撮影はすすでいる?』という会話くらい」と言っていたので、個人的にコミュニケーションがあった様子はないようです。
恐らくタファンを演じるタイプではないジンモさん、嫉妬もあったかも?
考えすぎでしょうか。