「おっさんずラブ」の脇役の力



「おっさんずラブ」の余韻を引きずっています。
脇キャラが面白いのも成功の必須条件です。

最近いろんな番組で見るアンジャッシュの児嶋一哉が演じた”わんだほう”のマスターのキャラも良かった。
佐々木希と結婚したもう一人のアンジャッシュ、渡部健の陰に隠れているイメージだったのが、一転しました。
「リーガルV」でもエリート会社員を演じていましたが、完璧な役者だと思います。
主役を脅かさない、それでいてちゃんと役にハマる、いわゆる「自分の立ち位置」をちゃんと把握した戦略的プランニングが功を奏したのでしょう。
「おおしまさん」「児嶋だよ!」というお約束だけではない、「児嶋さん」「間違えろよ!」という変化球も投げられるなかなかの人、だったのです。

脇ではないけど、メインの黒澤武蔵(吉田鋼太郎)の妻役だった大塚寧々も可愛かった。
武蔵さんの寝言「はるたん・・・・」を「はるか・・・・」と思込み、はるたんこと春田創一(田中圭)を巻き込んでの「はるか探し」は結構笑えました。
夫の浮気に悩み、男子(はるたん)を好きになったことをに驚き、でも夫の真剣さに身を引く。
職場調査に乗り込み、伊藤修子さん演じるマイマイを見て、「あなたじゃないわね」とつぶやくブラックさもチャーミングでした。

マロこと、栗林歌麻呂のキャラクターも良かった。
演じていたのは金子大地くんという若手の俳優さんですが、「いまどき」の若者がよく似合っていました。
前出の黒澤武蔵の妻蝶子さん(大塚寧々)が登場したとき「アリよりのアリ」というようなセリフを蝶子に吐き、マイマイに「あっち行きなさい!」と怒られるシーンは最高です。

自分の失敗を棚に上げて春田の失敗をなじり、実際は先輩の牧(林遣都)に自分はここの(営業所)の先輩だからといばっちゃう「おバカさん」なのだけど、憎めない。
後半、春田の幼馴染のちず(内田理央)と付き合い始めるけど、ちずが春田を好きなことが分かり、あっさりと身を引く「賢さ」も見せました。
蝶子さんを慰めているうちに、大人の女性の魅力を知り、蝶子さんに猛アタックする変わり身の早さもなかなかでした。

そして、「第三の男」を演じた眞島秀和。
私の中ではこの方は「軍師官兵衛」での”顕如役”のお坊さんと、「失恋ショコラティエ」の石原さとみと結婚したDV亭主。
その二つの役も結構きっつい役だったのすが、この武川さんも真面目で几帳面でちょい潔癖症な役でした。
その一見固くて真面目な姿から”牧”に対する愛を徐々に表現していゆくプロセス、愛を真摯に訴える姿が見事だったと思います。
吉田鋼太郎演じた黒澤武蔵とは違った”おっさんラブ”を見せてくれた気がします。

この「おっさんずラブ」、海外のドラマコンペティションでも話題になったらしいです。
フランスのメディアでは黒澤武蔵と春田のHAPPYエンディングがみたい、という声が上がったとか。

海外でも通用するレベルのドラマだったってことです。