写真は大人リン・シャオと子役リン・シャオ。(子役の子も良かった~)
リン・シャオとハー・ズーチウは、母に対する葛藤を抱えています。
母に捨てられたという一見似たような境遇の二人ですが、そのプロセスは全く違いました。
ハー・ズーチウの母はある事情からズーチウを迎えにゆくことができず、その秘密がわかった後には二人の和解が待っていました。
リン・シャオの母はより複雑で、ズーチウが母を待ちこがれたけれど現れなかった、というようなことではなく、近くにいてリン・シャオを傷つけ傷を抉り、自分の都合で再び登場し、母と異父妹を愛せと迫る、かなり勝手な人でした。
リン・シャオの父は警察官で、娘を亡くしたあと、自分なりの方法で妻をなんとか立ち直らせようとしていました。
妻(リン・シャオママ)は、仕事にかこつけて自分と向きあわない、という不満を持ち、ますます怒りを貯めていましたが、パパは言葉巧みではない、不器用なタイプだったのだと思います。
「仕事人間」でもありました。
リン・シャオが可哀想だったのは、目の前で自分が食べさせたくるみで妹が亡くなり、しかも母の留守中の事故、家には外から鍵がかかり、幼い自分にどうすることもできない状況で、それがトラウマになったことでした。
引っ越して、3人で暮らそうと心機一転しても、母の落ち込みは尋常ではなく、それをリン・シャオと夫にあたる、挙句にリン・シャオに「妹が死んだのはあなたのせい」とまで言ってしまう。
リン・シャオの母が出てゆくとき、幼いジェンジェンが「お兄ちゃんを頂戴」といった言葉に「あなたにあげる」と答えるリン・シャオ母。(残酷なシーンです)
リン・シャオ、ハー・ズーチウ、ジェンジェン、3人は義兄妹になり、楽しい子供時代を過ごします。
そして、北京の大学に進学するとき、母が再婚した夫の車で事故に合い、夫は死亡、重症の母を見舞うため、リン・シャオがシンガポールに向かいます。
体が不自由になった母、小さい異父妹の面倒を見る羽目になったリン・シャオ。
母の介護をしながら大学に通い、歯科医になるのですが、「家族」に会えない日々をただただジェンジェンを想い、平凡な日々を切望。もともと他人を受け入れない性格に拍車がかかり、睡眠障害を患い、「絶望の日々」を送るのです。
母はジェンジェンが送ったスニーカーを捨てる(異父妹がそっと拾った)、大切なアルバムを切り刻む。
怨念のような呪縛的愛情、いわゆる「毒母」です。