「虎に翼」 ~日本と韓国を比較してみた~



今期の朝ドラ「虎に翼」が面白い。
何と言ってもヒロインの伊藤沙莉が上手い。コメディエンヌの名にふさわしく、コミカルにドラマの出だしを軽やかに演じています。
(最初の)夫となる仲野太賀もいい。ヒロインの邪魔をせず、でも存在感を醸し出し、時代背景を超越しつつ理想のパートナー(になるであろう)を演じている。

伊藤沙莉の(私自身)の発見は「ひよっこ」、コメ屋の「米子」。
従業員の三男(泉澤祐希)を好きな米子は、三男が好きな佐久間由衣演じる時子のファンだと偽り、女優として頑張って欲しい、ということを(かなりの形相で)熱を込めて励ます、というシーン。
時子の成功=三男が諦める、という構図まで透かして見せ、時子の戸惑ながらの「サイン・・・しますか?」にすかさず「いりません」という絶妙な間、すごい子だなあと。
将来すごい女優になると思ったのだけど、こんなに早く主演女優をはるなんて、とびっくりです。

仲野太賀を認識したのは、「ゆとりですがなにか」の岡田将生の後輩営業マン。
岡田将生をパワハラで訴える強気と弱気を行ったり来たりするその演技力に目を見張った。
太賀の前に岡田将生が霞んだ、とさえ思いました。
再来年の大河ドラマの主演に抜擢されたとか。
来年が横浜流星だから、NHKもメリハリを考えているのかも。(例えば、草刈正雄の翌年に火野正平をもってくるみたいな感じ・・・・あくまでも個人の意見)

朝ドラヒロイン、趣里に続く、演技派と言われる女優が続きます。(安藤サクラもそうだけど)
ヒロインキャラの突出ぶりは韓ドラに負けるけれど、俳優の多様性に関しては、日本のドラマは勝っている、と思うのです。
もちろん、韓国にも多様なキャラを演じる俳優は数多いるけれど、主演ドラマの俳優に関しては、相対的にいわゆる容姿端麗というくくりがあるような気がします。

そこは、やはり10年以上前の韓国記者が書いた記事、日本の芸能界は(身長180cm以下)ルーザーたちの天国だ、を思い出します。
男性の身長に寛大な日本、身長・外貌至上主義の韓国、という内容なのだけれど、個性を認める個人主義が韓国社会に根付いていない、という結論はなかなか面白かった。

今、日本のドラマ界で感じるのは「実力最優先」路線であることは間違いない。

でもね、矛盾するけど、昨年(2023年)秋に再放送をしていた「お登勢」(放送は2001年)というNHKのドラマ、沢口靖子の演技が下手過ぎて、感動した。
いやもう、「木偶の棒」という公では使えない単語が浮かんでしまうレベル。
これを許していたNHKと(当時の)日本の民衆に大らかさを感じます。
今、許されないんじゃないかなあ。(といっても「科捜研の女」は絶賛継続中。スタッフに好かれる沢口靖子・・という噂)