「瓔珞」~傅恒を巡る女性たちのさま~



「瓔珞」の中で、皇帝の愛を巡る攻防はドラマの主軸だったけれど、その皇帝と全く違う立ち位置にいた男性が傅恒でした。
傅恒を好きな女性たちは皇后付きの女官明玉と爾晴、そして純妃まで加わり、なかなかの戦いになってゆきました。最初はライバルで瓔珞を毛嫌いしていた明玉ですが、後に唯一無二の親友になります。(二人の友情もドラマの要)

そしてもう一人の女官爾晴が面白かった。最初は奥ゆかしい女性と思いきや、傅恒との婚姻が決まりだした頃から変貌してゆく。瓔珞を貶める策を練り、成功。
そして皇帝命令の傅恒との婚姻を勝ち取る。
この人の可哀想なところは、結婚すれば全て上手く行くということを疑わなかったこと。

傅恒はともかく瓔珞を愛し過ぎていて、瓔珞以外は誰でも同じだったのです。
爾晴、自身の身内を盛り立てるために、奥様たちの集まりを開き、(身内に)情報を流し、傅恒の身の回りを世話する者たちに目を光らせ、疑う。
正義感の強い傅恒にとがめられると、目を剥いて激怒する。

この爾晴の変貌からのストーリーが俄然面白くなっていったのです。
愛のために、人を陥れ、暴力をふるい、それが得られないと、その暴力的愛の反動で復讐する。
彼女の中での最高の復讐は、自分に手を触れない傅恒に対して当てつけをするべく、皇帝と一夜をともにし、妊娠。(いや~1回で妊娠しちゃう強靭な卵子をもっていた。もちろん精子もすさまじい精力)
子を見るたびに、傅恒が屈辱に苛まれる、という計画でした。
そして、流産して昏睡から目覚めたばかりの富察皇后へその事実を告げてしまう。

悪女が沢山出てきたけど、ある意味この人に the best of 悪女 を贈りたいくらい。
人は見かけではわからない、人は変わる、人は一線を越えると凄まじい「悪」に落ちる。
そんな怒涛の人生を見せてくれました。

中国のドラマは声が本人ではないから、評価がなかなか難しいけれど、この女優さんの「力」を感じました。

そして、純妃。美しくって知的で、孤高の人、と思いきや、傅恒が瓔珞を好きと知ると、そんなはずはない、と俄然張り切り出す。
皇室に嫁ぐ前に傅恒に手紙を書いていて、自分が手を加えた装飾品を付けている傅恒と完全両想いと思い込んでいた純妃。
直接本人に確かめたら、手紙はお付きの女官が破いていて届かず、装飾品のメンテは姉皇后がしたと思っていたという傅恒。
恥ずかしさに泣き崩れるも、生きてゆくために皇帝の愛を得ようと切り替える純妃、なかなかしたたかでよかった。

爾晴と比べると、この切り替えの早さは素敵だった。

いずれにしても、傅恒の「愛」は不器用で、一途で、ある意味頑なで、ドラマを通じて、the best of 男子、だったと思います。

そして純妃は、この後「皇帝愛の争奪戦」に参戦、皇后を陥れることになります。