「善徳女王」 韓ドラ歴史ドラマの最高峰


全62話「善徳女王」の視聴を完了しました。
後半、ミシルが死んでからの視聴率は頭打ちだったとどこかに書いてあるのを読んだ記憶がありますが、最後まで面白かったと思います。

ミシルとの闘いに勝って、王の座を手に入れたトンマンですが、周囲の反対を押し切ってミシルの身内を殺さないことを選択しました。
財産を没収して、勢力を弱め、新体制の新羅(つまり自分に)に協力をするようにという理想的な国づくりをしようとしますが、そこはさんざん甘い汁を吸ってきた人たち、一筋縄ではいきません。(あと10数話残っているし)

ピダムの存在がトンマンに影を落とします。
ピダムの師匠ムンノと協力をして「三国統一」を目指していたイムジョン(オム・ヒョソプ)が暗躍します。
またオム・ヒョソプが上手い!!
緩急ある、裏も表も、酸いも甘いも知りぬいた、それでいてどこか憎めない商人を魅力的に演じています。
もともとピダムを幼少の頃から知っていたのでしょう。
ピダムの根底にある「自分は誰からも愛されないのではないかという疑心感」を利用し、トンマンとの関係を揺るがし、ミシル側の党首、つまり「王」に祭り上げようととするのです。

まんまとはまるピダム。
幼少の頃のフラッシュバックが彼を捕らえ、そこから動けなくなります。
ムンノの手に自分を重ねるも、その手を払われた記憶、トンマンがピダムの手を離したことがその記憶と重なり、疑惑にがんじがらめにされ、動けなくなる。

結局、ピダムを謀反の党首として殺さなければならなくなるトンマン。
ピダムは壮絶な最後を迎えます。
反対に言えば俳優キム・ナムギルの大いなる見せ場でもありました。

「トンマン」と名を呼びながら口から血を流し、崩れ落ちてゆく死に様は派手な演出で、役者冥利のシーンでもあったと思います。
大ブレイクを果たしたナムギルへの「ご褒美」的なものでもあったでしょう。
とはいえ、ただトンマンの心が欲しかったピダムの哀しい最後でした。

トンマンはそのときすでに自分の死を覚悟していました。
おそらく心臓を患っていたのでしょう。
ユシン(オム・テウン)との会話の途中で息をひきとります。
トンマンの言葉「すべてを手に入れたと思ったけれど、何も手に入れていなかった」という一言が胸に残りました。

ヴァージンクウィーンと言われたエリザベス一世も、結婚によって他国から干渉されることを恐れて、生涯結婚しませんでした。
国の頂点に立つものとしてのノーブレス・オブリージュ、地位のある者が持つ責任、つまり「王冠を被るものその重さに耐えろ」ってことなのでしょう。

姉の死、父の死、育ての母の死、そしてピダム。
いくつもの死と壮絶な闘いを生き抜いて、三国統一の礎を築いた善徳女王の見事な生きざまを見させてもらいました。

良いドラマでした。