「イケメン俳優の生き残り方」を考えていたら、「正統派女優の生き残り方」ってなんだろうと思いました。
いわずと知れた吉永小百合さん。びっくりしたことには、あの樹木希林さんと2歳しか歳が違わないことがわかりました。
1943年生まれの希林さんが75歳、1945年生まれの小百合さんが73歳。二人の外見からくる違いは、女優としての生き方の違いが表れているのだと思います。
他にも草笛光子、八千草薫、浅丘ルリ子等往年の女優は、歳をとってもなお、「輝きたい」という欲があるような気がします。(まあ当たり前だけど)
吉永小百合さんにしても、女優の使命みたいなものを感じます。体を鍛えていて、STOP「老化」の精神を持っていることは間違いないです。
恐らく、吉永小百合さんあたりは、「この映画に吉永小百合を出演させる。さてどんな役をやってもらおうか?」という流れなのだと思います。
まず、小百合ありきで役をどうするかが検討される。
樹木希林がインタビューで言っていた「誰もやりたがらない役がくる」ということが、この前のカンヌのパルムドールに輝いた「万引き家族」の中のまさしく老婆なのだと思いました。
未視聴ですが、あのポスター見ただけでも「老婆」そのものだということがわかります。あの役をできる人は『女優』という肩書を持つ人でそうはいません。
どこか何かで『女優魂』が出てしまうのだと思います。
例えば白石加代子は、「存在感」が、浅丘ルリ子は「知的さ」が、八千草薫は「かわいらしさ」を、草笛光子は「かっこよさ」を、誰もが役の中に「アピール」をちりばめる。
そのアピールを全くしないのが、樹木希林。
その冷徹なまでの役に徹する気概は驚くべきものがあります。
万人が持つ「(人に)良く思われたい」というその「欲」がない。
(これは前に「樹木希林大ブレーク中」にも書いたけど)
この人に会社社長とか政府高官とかバリバリのエリートを演じて欲しい。絶対にハマるはず、だってものすごく頭のいい人だもの。
ともかく、正統派女優は必ず”「私」が輝くためにはどうするか”があり、そのためにはあらゆる努力をするのです。
そして、美貌のギリギリまで行ってみる。
母役になっても、「キレイなお母さん」、「可愛いお母さん」であり、めっちゃ素敵!な感じを醸し出す。
今の朝ドラの、松雪泰子しかり、原田知世しかり、前朝ドラの鈴木保奈美しかり。
彼女たちの母になっても美しい自分、その感覚が手に取るようにわかる。
女性からあこがれの存在になる、生き残るためにそこらへんの感覚が鋭い人たちであるのは一目瞭然です。
正統派女優っていつどこで、シフトチェンジするかはやっぱり正統派男優と同じだと思います。
近藤正臣とか草刈正雄がちょっと渋めの2.5枚目を演じることで、生き延びました。
篠原涼子、米倉涼子、天海祐希、際立ったキャラでブレークするパターン。
石田ゆり子のように、主役のじゃまにならない&大人可愛いキャラで再ブレイクすることもあります。
いずれにしても、絶対映画しか出ない吉永小百合のような大御所にならなければ、主役の座から降りるときがくるのです。
そのタイミングを計る、その分岐点にたどり着くのは、結構大変かも知れません。