「魅惑の人」、視聴完了。
チョ・ジョンソクの王の苦悩をたっぷりと見させてもらいました。
「愛の不時着」の出演者が3人もいて、出番はさほど多くなかったけど、先王(チョ・ジョンソクの異母兄)を演じたチェ・テフンも上手かったな。(「不時着」でユン・セリ(ソン・イェジン)の長兄役。ダメダメのヘタレをコミカルに演じていました。兄夫婦はあのドラマの「(笑)」だった。今回は打って変わって、人を疑うことしかしない(できない)精神を蝕まれかかっている王、凄まじく見事でした)
弟の有能さを知っているために、配下のおっさんたちの権力争いに簡単に巻き込まれてしまいます。
清に人質となっていったジョンソクの功績に「清の手先になった」と吹き込まれれば、「お前はただの臣下だ。自分を兄と呼ぶのはおこがましい」と遠ざける。
大妃が義母(弟ジョンソクの実母)であり、その義母の兄が重鎮であることからも「疑心暗鬼」が生まれやすかった、という背景も可哀想な人でもありました。
先王の妻王妃は、また重鎮の娘。
父はその権力を拡大するために、またシン・セギョンの父をも取り込みたくて、カン・ヒス(セギョン)と息子(イ・シニョン)の結婚を持ちかける。
息子役のイ・シニョンも「不時着」で北のヒョンビンの部下で、イケメン兵士を演じていました。
頑張ってはいたけど、ちょっと青くさかったな。
まわりがあまりにも芸達者で、未熟さが目立った気がします。(ま、まだ若いし、これからでしょう、となぜか上から目線)
ユン・セリといつも言い争っていた、でも実は優しいピョ・チスを演じたヤン・ギョンウォン、今回は超ずるがしこい役でした。
権力が大好きな大樹を探して豹変する小賢しい「小物」を完璧にそして見事に演じていました。
囲碁の達人イ・インが先を見越す「頭脳」の塊であることが証明されるストーリー。
最初のモンウとの対戦で、モンウを「勝たせた」、ということものちのちの全ての主導権をジョンソク王が握っていた、という暗示だったことがわかるのです。
兄の息子を大妃とその兄(つまり伯父)に殺されないために世子にして安全確保。
娘の清への人身御供を救うために清の人質から救われた宮女が身代わりになる。(でもこれには疑問を呈したい。同じ女性で、身分によって犠牲になってもいいいのか、というジェンダーから離れた人権問題。といっても、このころに「人権」の思想はなかったからOK?)
とまあ、多少の問題はあれど、ハッピーエンドの着地。
カン・ヒスがラストにカン・モンウのまま王と将棋をさすシーンで終わるのは、時代を考慮しているのだと思いました。
「百日の郎君様」、「雲が描いた月明かり」、「青春ウォルダム」等々、誰も王妃になったシーンはない。
日本の皇室しかり、イギリス王室しかり、王妃がハッピーエンドではないことを現実に証明している、といっても過言ではない。
もしかしたら、「別居結婚」かも、という余白を残したのだと思います。