「愛の不時着」~立ち尽くすヒョンビンの美しさ~


「愛の不時着」視聴完了。
多少最終回前のマノビ間を感じたものの、やっぱりよくできたドラマと思います。
これで心置きなく2クール目を堪能できそうです。
なぜなら「安心」して観られるから。(なんて気の弱い私)

ヒョンビンの「愛」に打ち震える女子(中高年も含めて)が後を絶たないのも納得です。

一見したところ「純愛ドラマ」の典型的パターンかと思いきや、北の国の将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)のユン・セリ(ソン・イェジン)を守り抜く姿勢、献身。
軍人でありながら、一切の「The 男!」がない人物が新鮮でした。

あの北原みのりさんが

「本気で守るとは、俺様感のない必死なのだと、私は教わった。ああ私もこんな風に守られたい」

とまで書いていました。
そう、あの美しも逞しいリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)に守られたい!!

ユン・セリは自分の地位(財閥で自らも経営者)を含めたユン・セリとして見られてきた。
北では、ただの南から不時着した人物、という丸裸の自分をなんの見返りもなく、命を懸けて、そして寡黙に守ってくれたジョンヒョクに惹かれないではいられなかった。
船での国境越えの危機をジョンヒョクのキス、空港に向かう軍トラックではオートバイでの華麗でしなやかなアクション。
歩いて超えた国境では、(セリと長くいたくて)道に迷ったふりまでする。
なんとまあ工夫を凝らし盛り上がるポイントをはめ込んでいることだろう。

ヒョンビンの軍服姿、スーツ姿、ちょいカジュアルな装い、ヒョンビンのためのヒョンビンカッコいい祭りのドラマでした。

南ではユン・セリも体を張りました。
ジョンヒョクが撃たれる寸前に車で阻止。
自分が身代わりになる。(その後敗血しょうで危篤にもなる)
セリを見守る、ただ病院に立ち尽くすヒョンビン、いえジョンヒョクの全身から溢れる「愛」
ただただ立っているだけで、セリへの「愛」を表現するヒョンビンの演技力にやられます。

「韓流は美のレベルも含め全てが男女対等」

(再び北原みのりさんの文章から)
サイドストーリーのソ・ダン(ソ・ジヘ)とク・スンジュン(キム・ジョンヒョン)の悲哀も、最後にダンがスンジュンを撃った人物を突き止め、恨みを晴らす。
(結果的に北にいたセリを密かに亡き者にしようとした次兄夫妻の逮捕につながる)
ダンはスンジュンに愛された記憶を胸に、音楽家の道を進む。
女性たちのたくましさとやさしさととしなやかさ、助け合う「シスターフッド」(またしても北原みのりさんが使った言葉)が心に残りました。

ヒョンビンいえ、ジョンヒョクをキャーキャー言って祭り上げる村のおばさん達の明るさと面白さ。
ピョ・チス(ヤン・ギョンウォン)がジョンヒョクの代わりに隊長になると知った時の落胆と変わり身。

セリと村の女性たち、村の女性たちとダンオンマとの交流。
「結婚」を挟んでのジョンヒョクとダン母たちの納得する和解。
終わってみれば、女たちは階級も国境も超えた友情をはぐくんでいた。

「希望」を込めた物語になっていたと思います。